イスタンブールの歴史を物語る史跡・建造物19選

イスタンブール(İstanbul)は、ビザンツ帝国とオスマン帝国という二つの大帝国の首都として歴史を重ねてきた街です。その名残は、宮殿やモスク、城塞、地下貯水池といった形で今も街のあちこちに残っています。旧市街の大モスクから海峡沿いの宮殿や要塞まで、イスタンブールの史跡19か所には、それぞれの時代の物語が刻まれています。

1. トプカプ宮殿(Topkapı Sarayı)

イスタンブールの史跡、トプカプ宮殿の外観と中庭

オスマン帝国の歴代スルタンが暮らしたトプカプ宮殿は、623年続いたオスマン帝国の歴史のうち、約400年にわたって政治の中枢として使われました。現在は国家宮殿局(Millî Saraylar)が管理する博物館として公開されています。

住所:Cankurtaran, Fatih/İstanbul アクセス:T1トラムの「Sultanahmet」停留所から徒歩約5分 営業時間:9:00〜17:00(火曜休館) 注意点:見学エリアが広いため、最低でも2〜3時間の滞在時間を見ておくと安心です。

2. イェレバタン・サルヌジュ(Yerebatan Sarnıcı)

イェレバタン・サルヌジュの地下貯水池

アヤソフィアのすぐそばの地下に、イスタンブールに残る地下貯水池のなかでも最大規模のものがあります。それがイェレバタン・サルヌジュ(バシリカ・シスタン)です。名前は、近くにあった古いバシリカ(教会堂)にちなんで付けられました。

住所:Alemdar, Fatih/İstanbul アクセス:T1トラムの「Sultanahmet」停留所から徒歩約3分 注意点:内部は湿気があり足元が滑りやすいので、歩きやすい靴での見学がおすすめです。

3. アヤソフィア(Ayasofya)

アヤソフィアの外観

ビザンツ時代に大聖堂として建てられたアヤソフィアは、のちにオスマン帝国の支配下に入ると、スルタン・メフメト2世(ファーティフ)によってモスクに改築されました。現在は礼拝の場として使われています。入場は無料です。アヤソフィアやトプカプ宮殿を含む旧市街の一帯は、1985年にユネスコ世界遺産「イスタンブール歴史地域」として登録されています。

住所:Sultanahmet, Fatih/İstanbul アクセス:T1トラムの「Sultanahmet」停留所から徒歩約2分 注意点:礼拝の時間帯は一時的に見学を制限されることがあります。女性は肩と頭を覆うスカーフを用意しておくと安心です。

4. スルタンアフメト・モスク(Sultanahmet Camii/ブルーモスク)

スルタンアフメト・モスクの外観

スルタンアフメト・モスクを建てさせたのは、オスマン帝国のスルタン、アフメト1世です。欧米では「ブルーモスク」の名で知られています。青や緑、白を基調としたイズニック・タイルの装飾と、ドームを飾る青みがかった文様が、その呼び名の由来です。

住所:Sultan Ahmet, Fatih/İstanbul アクセス:T1トラムの「Sultanahmet」停留所から徒歩約3分 注意点:礼拝中は見学エリアが制限されます。靴を脱いで入る必要があり、女性はスカーフを着用します。

5. ドルマバフチェ宮殿(Dolmabahçe Sarayı)

ドルマバフチェ宮殿のボスポラス海峡側外観

ドルマバフチェ宮殿の建設と使用開始は、スルタン・アブドゥルメジト1世の治世のことでした。現在でも国の公式行事が行われることがある、格式高い宮殿のひとつです。

住所:Vişnezade, Beşiktaş/İstanbul アクセス:Kabataşのトラム・フュニキュラー停留所から徒歩約10分 注意点:内部は写真撮影が制限されている部屋があります。

6. イェディクレ要塞(Yedikule Zindanları)

イェディクレ要塞の城壁

トルコ国内でも最古の野外博物館のひとつであるイェディクレ要塞は、ビザンツ皇帝テオドシウスによって築かれました。トルコ語名の「Zindanları」は「牢獄」を意味しますが、もともとは牢獄ではなく、他国から訪れる王や高官をもてなすための施設として建設されたとされています。その後、王位継承の際に4つの塔が追加され、オスマン帝国に併合されたのちにはメフメト2世がさらに3つの塔を加え、合計7つの塔を持つ現在の姿になりました。

住所:Yedikule, Fatih/İstanbul アクセス:マルマライ線「Yedikule」駅から徒歩約10分

7. 乙女の塔(Kız Kulesi)

乙女の塔とボスポラス海峡

ボスポラス海峡に浮かぶ乙女の塔は、ビザンツ時代から現存する数少ない建造物の一つで、その起源は非常に古いとされています。正確な建設年には諸説があり、資料によって記述が異なります。

住所:Salacak, Üsküdar/İstanbul(沖合の小島) アクセス:ウスキュダルまたはサラジャクの桟橋からシャトルボートで数分

8. フェスハーネ(Feshane)

フェスハーネの建物外観

フェスハーネは、マフムト2世の時代に設立されました。目的は、イェニチェリ軍を廃止したのちの新しい軍隊の制服を仕立てることでした。現在では見本市や文化イベントの会場として使われています。

住所:Defterdar, Eyüpsultan/İstanbul アクセス:金角湾フェリーの「Eyüp」乗船場から徒歩約10分

9. ギュルハーネ公園(Gülhane Parkı)

ギュルハーネ公園の緑地

トプカプ宮殿とアライ・キョシュキュ(分列式の離宮)、サラーイブルヌの間に広がるギュルハーネ公園は、オスマン時代にはトプカプ宮殿の外庭として使われていました。宮殿の見学を終えて外に出たつもりでも、この公園の木陰までは、かつて宮殿の敷地の一部だったことになります。

住所:Gülhane, Fatih/İstanbul アクセス:T1トラムの「Gülhane」停留所から徒歩約1分 注意点:週末は家族連れで混み合うため、静かに過ごしたい場合は平日の午前中がおすすめです。

10. ルメリ要塞(Rumeli Hisarı)

ルメリ要塞の城壁とボスポラス海峡

ルメリ要塞は、メフメト2世がボスポラス海峡の北側から来る侵攻を防ぐために築いた要塞です。ヨーロッパ側のベシクタシュとサルユエルの間、海峡沿いに位置しています。旧市街の史跡の多くはT1トラムの停留所から徒歩数分で回れますが、この要塞をはじめ海峡沿いの要塞や宮殿は、バスや船での移動が前提になります。

住所:Rumeli Hisarı, Sarıyer/İstanbul アクセス:ベシクタシュから海峡沿いのバスで約30分

11. アナドル要塞(Anadolu Hisarı)

アナドル要塞の遠景

黒海沿岸に植民地を築いていたビザンツ帝国やジェノヴァ勢力の脅威に対抗するため、ヤルドゥルム・バヤズィト(バヤズィト1世)が建設したと伝えられているのが、アナドル要塞です。

住所:Anadoluhisarı, Beykoz/İstanbul アクセス:ウスキュダルまたはカヴァジュクからバスで約20分

12. ベイレルベイ宮殿(Beylerbeyi Sarayı)

ベイレルベイ宮殿の外観

ベイレルベイ宮殿は、アジア側のウスキュダル地区にあります。スルタン・アブドゥルアズィズの命により、アルメニア人建築家サルキス・バリヤンが手がけました。

住所:Beylerbeyi, Üsküdar/İstanbul アクセス:ウスキュダルから海峡沿いのバスで約15分

13. チュラーン宮殿(Çırağan Sarayı)

チュラーン宮殿のボスポラス海峡側外観

17世紀には「カザンジュオール庭園」として知られ、チューリップ時代を象徴する建物の一つとされていたのがチュラーン宮殿です。意外にも、現在はチュラーン・パレス・ケンピンスキーとして営業するホテルの一部になっています。

住所:Beşiktaş/İstanbul アクセス:ベシクタシュの船着き場・バス停から徒歩約10分 注意点:宮殿部分の見学は宿泊者やレストラン利用者が中心で、一般の内部見学には制限があります。

14. グランドバザール(Kapalı Çarşı)

グランドバザールの通路

約4,000店舗が軒を連ねるグランドバザールは、世界最大級の屋根付き市場として知られています。建設はメフメト2世の時代に始まり、創設年は1460年とされていますが、現在見られる木造の大きな市場部分はスュレイマン1世(カヌーニー)の時代に整備されました。

住所:Beyazıt, Fatih/İstanbul アクセス:T1トラムの「Beyazıt-Kapalıçarşı」停留所から徒歩約2分 営業時間:9:00〜19:00(日曜休業) 注意点:買い物の際の値段交渉は一般的な習慣です。無理に買う必要はなく、断っても問題ありません。

15. エジプシャンバザール(Mısır Çarşısı)

エジプシャンバザールの内部

エジプシャンバザールは、オスマン帝国のスルタン、イブラヒム1世の妃トゥルハン・ハティジェ・スルタンの命で建設されました。では、なぜイスタンブールの市場に「エジプト」の名が付いているのでしょうか。由来は、エジプトからの関税収入を建設資金に充てたという説にあります。

住所:Rüstem Paşa, Fatih/İstanbul(エミノニュ地区) アクセス:T1トラムの「Eminönü」停留所から徒歩約3分 注意点:スパイスやお菓子の量り売りが多いため、購入前に重量と価格を確認しておくと確実です。

16. ユルドゥズ宮殿(Yıldız Sarayı)

ユルドゥズ宮殿の建物

スルタン・アブドゥルハミト2世の時代にオスマン帝国の主たる宮殿として使われたユルドゥズ宮殿は、もとはセリム3世が母ミフリシャー・ワーリデ・スルタンのために建てさせたものでした。

住所:Yıldız, Beşiktaş/İstanbul アクセス:ベシクタシュから徒歩約20分、またはバスでユルドゥズ公園へ

17. エユップ・スルタン・モスク(Eyüp Sultan Camii)

エユップ・スルタン・モスクの外観

エユップ地区にあるエユップ・スルタン・モスクは、イスタンブール征服から間もない時期にメフメト2世によって建てられました。歴史的に重要な意味を持つ理由は、二つあります。預言者の旗持ちであったエユップ・スルタンの墓があること、そしてメフメト2世以降のスルタンが即位の際に剣を帯びる儀式を行った場所であることです。

住所:Eyüp, Eyüpsultan/İstanbul アクセス:金角湾フェリー「Eyüp」乗船場、または地下鉄M7線「Alibeyköy」方面から徒歩 注意点:参拝客の多いモスクのため、肌の露出を控えた服装と、女性のスカーフ着用がすすめられます。

18. アライ・キョシュキュ(Alay Köşkü)

アライ・キョシュキュの外観

トプカプ宮殿の外壁の上に建てられたアライ・キョシュキュは、スルタンが行進する軍の分列式(アライ)を見物するために作られた離宮です。ギュルハーネ公園と同じく、ここもトプカプ宮殿の内と外の境目にあたる場所です。

住所:Cankurtaran, Fatih/İstanbul(トプカプ宮殿外壁沿い) アクセス:T1トラムの「Gülhane」停留所から徒歩約3分

19. ヒディヴ・カスル(Hıdiv Kasrı)

ヒディヴ・カスルの建物

ボスポラス海峡のアジア側、チュブックル地区にあるヒディヴ・カスルは、エジプト総督(ヒディヴ)のための離宮として建てられました。緑に囲まれた高台に位置し、海峡を見渡す景観でも知られています。

住所:Çubuklu, Beykoz/İstanbul アクセス:チュブックル船着き場からフェリー、または車でのアクセスが一般的

参考:国家宮殿局(Millî Saraylar)公式サイト、UNESCO世界遺産センター「Historic Areas of Istanbul」

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