イスタンブールのおすすめハマム12選

冬の寒さをしのぐなら、温かい室内が一番です。でも、せっかくの旅先なら、ただのシャワーでは物足りません。何百年もの歴史を持つイスタンブールのおすすめハマム(トルコ式浴場)で、ケセ(垢すり)とマッサージを受けて、旅の疲れと一緒に肌の汚れもすっきり落としてみましょう。

1. チャトマ・メスジト・ハマム(Çatma Mescit Hamamı)

イスタンブールのおすすめハマムの一つ、チャトマ・メスジト・ハマムの外観

イスタンブールのおすすめハマムの1軒目は、ベイオール(Beyoğlu)地区にあるチャトマ・メスジト・ハマムです。建築家ミマール・スィナン(Mimar Sinan)が1533年に手がけた建物で、歴史の重みをそのまま感じられる空間になっています。誕生の経緯には諸説あります。伝承によると、オスマン帝国の建築を代表するスィナンは、カスム・パシャ(Kasım Paşa)のために大きなモスクと浴場を建てましたが、当時の高官たちがその浴場を庶民や労働者と共有したくなかったため、スィナンは近くの造船所で働く人々のために、このチャトマ・メスジト・ハマムを別に設計したそうです。浴場の収益は、モスクの維持費とムアッジン(礼拝の呼びかけを行う人)の生活費に充てると決められたとも言われます。一方で、カスム・パシャが娘のベルクス(Belkıs)に贈った建物だとする伝承も残っています。

この歴史的建築は近年修復され、周囲には後から高級ホテルが建てられたため、現在は浴場そのものがホテルの敷地内に取り込まれる形になりました。おかげで快適さは折り紙つきです。個人利用とグループ利用で予約を分けられるので、浴場スペースを独占的に使えるのも魅力です。バリやタイから来た専門マッサージセラピストによる施術も用意されており、石けんだけでなく食用オイルやはちみつ、ミルクを使ったケアも受けられます。

贅沢な時間を過ごしたい人に向いています。

・住所:イスタンブール ベイオール地区(Beyoğlu, İstanbul) ・注意点:ホテル敷地内の施設のため、事前予約が必須です。

2. スレイマニエ・ハマム(Süleymaniye Hamamı)

スレイマニエ・ハマムの内観

観光客からの人気も高い、よく知られたハマムの一つです。オスマン帝国のスルタンの一人、カヌーニー・スルタン・スレイマン(Kanuni Sultan Süleyman、スレイマン大帝)の命により1557年に建てられました。独特の煙突や装飾が評価されていたものの、1924年に一度閉鎖され、修復工事を経て2004年に再開しています。

収容人数は決して多くないため、予約は必須です。ハマムといえば男女別が当たり前と思われがちですが、ここは男女を分けないユニセックス(男女共用)形式を採っています。家族連れや観光客向けの利用が中心になっています。

・注意点:ユニセックス施設のため、利用方法は事前に公式サイトで確認することをおすすめします。

3. ジャアロール・ハマム(Cağaloğlu Hamamı)

ジャアロール・ハマムの内観

1741年、アヤソフィア(Ayasofya)のモスクに収益をもたらす目的で建てられたハマムで、スルタンアフメト(Sultanahmet)とジャアロール(Cağaloğlu)を結ぶイェレバタン通り(Yerebatan Caddesi)沿いにあります。オスマン建築とバロック様式が融合した雰囲気は見事です。訪れた著名人の顔ぶれは意外なほど幅広く、看護師のフローレンス・ナイチンゲール、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世、デザイナーのジャンフランコ・フェレ、俳優のオマー・シャリフやハリソン・フォードなどが名を連ねています。他のハマムと違い、バーやレストラン、カフェが併設されているのも特徴です。サービスはケセ、ゴベックタシュ(温かい大理石の寝台)での乾式マッサージ、オイルマッサージ、泡を使った洗体などから選べます。

・住所:イスタンブール スルタンアフメト地区 イェレバタン通り沿い

4. アヤソフヤ・ヒュッレム・スルタン・ハマム(Ayasofya Hürrem Sultan Hamamı)

アヤソフヤ・ヒュッレム・スルタン・ハマムの外観

スレイマン大帝が妻ヒュッレム・スルタン(Hürrem Sultan)のために建てたこのハマムは、アヤソフィアとブルーモスク(スルタンアフメト・モスク、Sultanahmet Camii)のちょうど中間にあります。歴史は450年を超えます。2011年に大規模な修復を終えて再開し、現在の運営はハセキ・ツーリズム・グループ(Haseki Tourism Group)が担っています。スタッフの多くはマッサージの専門教育を受けた人たちで、「ゼヴキ・セファ」「ケイフィ・ハマム」「ピリ・パク」「アブ・ハヤト」など、名前の異なる複数のコースから選ぶことができます。

浴後にはオスマン式のシャーベット(シェルベット)やロクム(トルコの伝統的なお菓子)、アプリコット、クルミ、チャイなどのもてなしも受けられます。

立地の良さもあって、観光の合間に立ち寄りやすい一軒です。

・住所:アヤソフィアとブルーモスクの間(Sultanahmet, İstanbul) ・注意点:観光地のど真ん中にあるため人気が高く、価格帯も周辺の一般的なハマムより高めです。

出典:Wikipedia「Hagia Sophia Hurrem Sultan Bathhouse」

5. チェンベルリタシュ・ハマム(Çemberlitaş Hamamı)

チェンベルリタシュ・ハマムの内観

このハマムもミマール・スィナンの手によるもので、建設を命じたのはムラト3世の母、ヌールバヌ・スルタン(Nurbanu Sultan)でした。430年を超える歴史を持ち、一度足を踏み入れると長居してしまう人が多いと言われるほど、サービスの充実度が高いハマムです。メニューを見ると、アロマオイルマッサージ、リフレクソロジー、インド式ヘッドマッサージ、クレイパックから、スルタン風の入浴コースまでそろっています。近年人気が再燃している「花嫁のハマム(ゲリン・ハマム)」のコースもあり、女性グループが食事付き・食事なしどちらのプランでも楽しめます。

・住所:チェンベルリタシュ地区(Çemberlitaş、スルタンアフメト近郊)

6. アア・ハマム(Ağa Hamamı)

アア・ハマムの外観

ガラタサライ・ハマムに次いで、ベイオール地区で人気の高いハマムの一つです。1454年にファーティフ・スルタン・メフメト(Fatih Sultan Mehmet)によって建てられ、当時は本人と皇子たちのみが利用できたと伝えられています。今では観光客にもよく利用されています。価格も、周辺のハマムと比べれば手頃な部類に入ります。

・アクセス:タリヒ・ガラタサライ・ハマムから約100メートルの距離

7. チニリ・ハマム(Çinili Hamamı)

チニリ・ハマムの内観

ここで観光地から少し離れ、ウスキュダル(Üsküdar)地区へ移動します。名前の由来であるチニリ・モスク(Çinili Camii)にちなんで名付けられたこのハマムは、1640年にキョセム・スルタン(Kösem Sultan)によって建てられました。ただ、肝心の「チニ(タイル装飾)」は、残念ながら現在はほとんど残っていません。天井が低く閉鎖的な造りのハマムが多いなか、このハマムは広い空間と高いドームのおかげで開放的な印象です。

週7日営業で、好みに応じて泡マッサージ、ケセ、オイルマッサージが選べます。花嫁や結婚前の女性向けのハマムコースも用意されています。

・営業時間:年中無休(詳細な時間は公式情報の確認をおすすめします)

8. タリヒ・ガラタサライ・ハマム(Tarihi Galatasaray Hamamı)

タリヒ・ガラタサライ・ハマムの内観

1481年、スルタン2世バヤズィト(II. Beyazıt)によって建てられたこのハマムも、イスタンブールのおすすめハマムの一つに数えられます。歴代の高官や裁判官、さらにはスルタン自身も利用してきた由緒ある建物です。立地はイスティクラル通り(İstiklal Caddesi)とチュクルジュマ(Çukurcuma)を結ぶトゥルナジュバシュ通り(Turnacıbaşı Sokak)で、周囲にはおしゃれなカフェや古道具店、デザイン雑貨の店が並びます。サービスは基本に忠実です。ケセ、オイルマッサージ、泡を使った洗体といった定番のコースが中心になります。

料金を多めに支払えば、浴場を貸し切って民族音楽の「ファスル」やオリエンタルダンスのショーを楽しむプランも用意されています。

・住所:トゥルナジュバシュ通り(Turnacıbaşı Sokak、イスティクラル通りとチュクルジュマの間)

9. アジェモール・ハマム(Acemoğlu Hamamı)

アジェモール・ハマムの外観

ジェラル・アア邸(Celal Ağa Konağı)の中にあるアジェモール・ハマムは、オスマン建築を代表する建物として知られています。設計はこちらもミマール・スィナンで、イスタンブールで最も古いハマムの一つとも言われます。名前の由来は少し込み入っています。建設から2世紀後、17世紀にスレイマン大帝の命で修復された際、当初「アジェミ・オーラン(Acemi Oğlanlar)」と呼ばれていた名前が、後にアジェモール(Acemoğlu)へと変化したと伝えられています。もっとも、年代の説明には食い違いもあり、正確な経緯ははっきりしていません。

ケセや泡マッサージに加えて、チョコレートパックのコースがあるのもこのハマムの特徴です。

10. クルチ・アリ・パシャ・ハマム(Kılıç Ali Paşa Hamamı)

クルチ・アリ・パシャ・ハマムの内観

現在はトプハネ(Tophane)地区のシンボル的な建物の一つとなっているこのハマムは、1578年から1583年にかけて、「海の征服者」と呼ばれたクルチ・アリ(Kılıç Ali)の依頼でミマール・スィナンが建てたものです。個人利用のほかに、花嫁のハマム、花婿のハマム、「40日ハマム(Kırk Hamamı)」といった特別なコースも行われています。併設の「デリヤ(Derya)」というショップでは、ペシュテマル(浴用の布)やタオル、バスローブ、ケセ、桶、刻印入りの石けんなど、ハマム用品を幅広く購入できます。

一度訪れると、また通いたくなる雰囲気を持つ一軒です。

・住所:トプハネ地区(Tophane, İstanbul) ・営業時間:女性08:00〜16:00/男性16:45〜23:30

出典:クルチ・アリ・パシャ・ハマム公式サイト

11. ミフリマー・スルタン・ハマム(Mihrimah Sultan Hamamı)

ミフリマー・スルタン・ハマムの外観

続いては、エディルネカプ(Edirnekapı)地区にあるハマムです。スレイマン大帝が娘のために建築家ミマール・スィナンに依頼し、1565年に完成しました。気分をすっきりさせたいときに向いています。

まずゴベックタシュかサウナでしっかり汗を流し、その後に乾式マッサージ、ケセ、泡マッサージを受けるのが基本的な流れです。花嫁・花婿向けのハマムコースもあります。

・住所:エディルネカプ地区(Edirnekapı, İstanbul)

12. ゲディックパシャ・ハマム(Gedikpaşa Hamamı)

ゲディックパシャ・ハマムの外観

グランドバザール(Kapalı Çarşı)のすぐ近くにあるこのハマムは、1475年にゲディック・アフメト・パシャ(Gedik Ahmet Paşa)の依頼で、当時の名建築家ミマール・ハイレッティン(Mimar Hayrettin)によって建てられました。男性用と女性用の浴場が分かれている「チフテ・ハマム(çifte hamam、双子ハマム)」形式の建物で、男女それぞれ別のエリアでゆったりと過ごせます。

・住所:グランドバザール近郊(Kapalı Çarşı周辺、İstanbul)

イスタンブールのおすすめハマムの選び方

では、12軒のなかからどう選べばよいのでしょうか。旧市街の観光の合間に立ち寄るなら、アヤソフヤ・ヒュッレム・スルタン・ハマムやチェンベルリタシュ・ハマムが候補になります。価格を抑えたいなら、ベイオールのアア・ハマムです。男女一緒に利用したい家族連れにはユニセックス形式のスレイマニエ・ハマム、男女別にゆっくり過ごしたい人にはチフテ・ハマム形式のゲディックパシャ・ハマムが向いています。ひと口にハマムと言っても、合う一軒は人によってかなり違います。

ハマム文化はイスタンブール観光の定番の一つです。アヤソフィアやスレイマニエ・モスクを含む旧市街一帯は、1985年にユネスコ世界遺産「イスタンブール歴史地域(Historic Areas of Istanbul)」に登録されており、今回紹介したハマムのいくつかもこの歴史地区の周辺にあります。入場時には靴を脱ぎ、貴重品はロッカーに預けるのが一般的なマナーです。チップを渡す習慣もあるため、目安の金額は予約時に確認しておくと安心です。観光地のハマム周辺はスリや客引きが多いこともあるため、貴重品の管理には気を配りましょう。

出典:ユネスコ世界遺産センター「Historic Areas of Istanbul」、Wikipedia「Hagia Sophia Hurrem Sultan Bathhouse」、クルチ・アリ・パシャ・ハマム公式サイト

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